まえがき
Ryzen9 7950X3Dを買ったのがちょうど半年前になるのだが、CPUクーラーは5600X用に購入したScytheの忍者5を流用して使っていた。
忍者5は非常に静かで安い割にそこそこ冷えるのでお気に入りであったのだが、流石に7950X3Dを冷やすには不十分でCinebenchを回すときにサーマルスロットリングに引っかかっているのが気がかりだった。
今年のComputexでNoctuaの次世代NH-D15が発表されたのでこれが出たら買い換えようと思っていたのだが、発売は来年第2四半期予定とのことでちょっと先の話になりそう。
そろそろPCの掃除がてらクーラーを交換したいというところで、ちょうどこの間DeepCoolの新作CPUクーラー Assassin IVが出たので、とりあえずこっちを買って試してみることにしたというお話。
(20240905 追記) ロシア輸出絡みの制裁で、DeepCoolの国内取扱が無くなりそうな雰囲気です。このAssassin IVが最後の製品になるかも
まとめ
Assassin IVとPCケースのTorrentとの組み合わせであれば、空冷でも7950X3Dを十分冷やせる性能がある。
Assassin IVは相当でかいし重い。しかし、ちゃんとマザーのヒートシンクやメモリとの干渉が無いように設計されているので高さにさえ気をつければ取り付けは問題ないと思う。
間違いなく空冷最高レベルの冷却性能だが、値段が現状1.5万前後と非常に高価なので、正直値段に見合っているかといえばノー。
- 安めのAIO 360mm水冷買える値段だし、空冷ならもっとコストと性能のバランスの良いものはあるだろう。それこそ元々使っていた忍者5でも普通に使えていたし、同じDeepCoolのAK500や620、最近出たScytheのFUMA3など、適当なミドルハイ空冷でも7950X3Dであれば十分性能は出ると思う。
- よほど見た目が気に入ったとかでなければ妥協して別のを買ったほうが幸せになれると思う。
Cinebench R23実行時のCPU温度をCore Tempを利用して測定。ログの結果をChatGPTのCode Interpreterにグラフ化させました。
- 詳しいベンチはおなじみエルミタのレビューでも見てください。
環境
- PCケース:Fractal Design Torrent
- 電源: CoolerMaster MWE GOLD 1250 V2
- マザーボード: MSI X670-P WIFI
- メモリ: Micron 4800MHz 2x32GB
- CPU: Ryzen9 7950X3D
- GPU: ZOTAC RTX4090 Trinity OC
- SSD1: ADATA XPG GAMMIX S70
- SSD2: Micron MX500 1TB
- CPUクーラー: Scythe 忍者5 or DeepCool Assassin IV
ギャラリー
梱包は他のDeepCool製品と似た感じで、茶色のボール箱に白を基調とした外箱のスタイル。
付属品はIntel, AMD用のマウントと工具(ドライバーとレンチ)、DM9というグリス。このDM9に関してはデータシートが見つからなかったものの工業グレードの製品との触れ込み。今回は家で余っていたMX-6を使ったので未使用です。
忍者5との比較。形状自体は忍者5と似た立方体に近い形状。単体で見るとシュッとしているデザインのため僅かに小さく感じるのだが、他のCPUクーラーと並べるとやはりデカいことがわかる。
フルタワーのTorrentに組み込んだらこんな感じ。ほぼマザーのPCIeスロットより上の部分が覆い隠される程の大きさです。買うときはサイズをしっかり確かめましょう。
ちなみに、更にメモリスロット側の方にもう1基ファンを追加することも可能です。やらんけど。
測定結果
ベンチマークとしてはCineBench R23を実行。スコアは次の通り、忍者5では微妙にサーマルスロットリングが発生しておりスコアが落ち込んでいたのだが、Assassin IVではそれが解消されて若干ながら高いスコアを出すことができた。
忍者5 | Assassin IV |
---|---|
34815 | 35208 |
また、Core TempでCineBench実行中の温度のログを取得。結果はCSVで出力されるのだが……
CPUID:,0xA60F12 Processor:,AMD Ryzen 9 7950X3D 16-Core (Raphael) Platform:,Socket AM5 (LGA 1718) Revision:, Lithography:,5nm Session start:,20:38:19 - September 04 - 2023 Time,Core 0 Temp. (°),Core 1 Temp. (°),Core 2 Temp. (°),Core 3 Temp. (°),Core 4 Temp. (°),Core 5 Temp. (°),Core 6 Temp. (°),Core 7 Temp. (°),Core 8 Temp. (°),Core 9 Temp. (°),Core 10 Temp. (°),Core 11 Temp. (°),Core 12 Temp. (°),Core 13 Temp. (°),Core 14 Temp. (°),Core 15 Temp. (°),,Core 0,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 1,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 2,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 3,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 4,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 5,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 6,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 7,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 8,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 9,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 10,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 11,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 12,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 13,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 14,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),Core 15,Low temp. (°),High temp. (°),Core load (%),Core speed (MHz),CPU 0 Power, 20:38:29 09/04/23,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4699.87,,43,89,100,4699.87,,43,89,100,4699.87,141.8, 20:38:39 09/04/23,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,89,,,43,89,100,4699.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4674.87,,43,89,100,4624.87,,43,89,100,4624.87,,43,89,100,4624.87,,43,89,100,4624.87,,43,89,100,4599.87,,43,89,100,4599.87,,43,89,100,4624.87,,43,89,100,4624.87,,43,89,100,4624.87,,43,89,100,4624.87,,43,89,100,4624.87,141.2, ...以下10秒ごとの測定結果... Session end:,20:49:02 - September 04 - 2023
こんな感じの前後にメタデータが入っててフォーマットめちゃくちゃ、エンコードは何故かWindows 1252、欠損値あり、やけに列多いという面倒なCSVファイルだったので自分でグラフ化する気がなくなってしまった。
ということで、ChatGPTのCode Interpreterに処理させることに。
こんなファイルを渡してもChatGPTは健気に処理してくれまして、次のようなグラフを作成してくれました。縦軸は全コア温度の平均値(℃)、横軸は時間(分)です。
これを見ていただいてわかるように、忍者5ではリミットの90度に張り付いてしまっていたのが、Assassin IVではちゃんと90度以下をキープできています。まあ1.5万円もするクーラーなのでこのくらいやってもらわなければ困るのですが、とりあえず懸念となっていた温度問題も解決できたし久しぶりにPCの掃除もできたしまあ良しとします。
ちなみにChatGPTが作ってくれたCore Tempのログパース用コードは次のような感じ。何度かエラーに遭遇しながらも、方針を示せば後は勝手に試行錯誤してくれるので非常に楽。機密じゃないデータかつある程度枯れたライブラリでできる解析に関しては、もはや自分でやる必要ないなと改めて実感しました。
with open(file_path, 'r', encoding='ISO-8859-1') as file: total_lines = sum(1 for line in file) from datetime import datetime # 日時のパース関数を更新して非標準的な行を処理 def parse_date(x): try: return datetime.strptime(x, '%H:%M:%S %m/%d/%y') except ValueError: return pd.NaT # 最後の行を除外してデータを読み込む data = pd.read_csv(file_path, encoding='ISO-8859-1', skiprows=8, nrows=total_lines-9, parse_dates=[0], date_parser=parse_date) data.set_index('Time', inplace=True) # スタート時を0として、時間を分単位で計算 data.index = (data.index - data.index[0]).total_seconds() / 60