背景
昔から一回使ってみたかった外付けGPUボックス(eGPU)。安い中古を発見してしまって,メルカリに大量の売上金が残っていたこともありついつい買ってしまった。
購入したのはPowerColorのDevil Boxというやつ。
これにSapphireのRX470のマイニング版,いわゆる「例のグラボ」のRX580改造版を手に入れたので合わせて使うことにした。
最近全然起動していなかったMacBook Pro 15.6inch mid 2018(i7-8750H, 16GB, RX 555X)のWindows10のBootcampで使おうとしたら大変に苦労したのでログを残しておくことにする。
結論から言えば,Devil BoxはmacOSXからはすんなり認識してぽん付けできちんと動作するが,eGPU+Bootcampで内臓のディスプレイを使うためには有志の作成した改造ドライバを入れる必要がありました。
謎のドライバを入れるリスクに見合っているのかは正直わからないですが,合計2万円でベンチマークスコアが555Xの倍近くになったしメインで使うわけでもないので遊びとしては大変満足です。
ただし全くもって正規なやり方ではないので,本記事にかかれていることを試そうとしている人は自己責任でお願いいたします。
まとめ
- macOSXならDevil Boxは普通にぽん付けで動く
- 動作要件ではWindows10のみの対応だと書いてあったのですがむしろWindows10(Bootcamp)ではすんなり動かない……
Devil Box|PowerColor|株式会社aiuto PCパーツ・周辺機器 総合代理店
- どうやらBootcampでeGPUを動作させるのは難しいらしい。最近はWin10でeGPUを選択できるようになったとかいうニュースも聞いていたので,てっきりつけりゃすぐ動くもんだと思っていたのですが。
- 結局デフォルトドライバではeGPUのRX580を発見できず,Radeonドライバを入れることができない。(エラー182が出てしまう)
- eGPUを繋げるとWindows10が勝手に入れるドライバがコンフリクトしてしまうのか,再起動後暗転して内臓ディスプレイに何も映らない状態になる。
- セーフモードで起動し,有志の作成した謎のドライバ(BootCampDrivers.com から入手)を入れると普通に内臓ディスプレイでeGPUが使える。
- WindowsでeGPUを使うには。設定の
グラフィックの設定
から、ソフトウェアごとに優先するGPUを選択する必要がある - ベンチマークの結果だと,MacOSのGeekBenchだと約3倍,Windows10のFF14ベンチだと約1.65倍になる
- これなら普通にフルHDで遊べそう
参考URL:
有志の作成したドライバの公開所
BootCampDrivers.com: Turbo-charged AMD graphics drivers for Mac BootCamp users.
ここのフォーラムで自分のやろうとしているビルドを調べてトレースするのが良いかも。Macだったら大量に情報がある。
見つけた今回の構成に近いケース。ただ今回は外部出力がないマイニング用RX470だったので自体がより厄介に……。
セットアップの詳細とベンチマーク(GeekBench@MacとFF14@Windows10)は下へどうぞ!
機材
- パソコン: MacBook Pro 2018 15.6inch(i7-8750H, 16GB, RX 555X)
- MacOS: 10.14 Mojave
- BootcampのOS: Windows10 Home 1909
- eGPU BOX: PowerColor Devilbox TB3
- eGPU: Sapphire RX470 mining 8GB(RX580 BIOS適応済み)
機材セットアップ
GPUはご覧の通り出力がありません。今度の休日クリーム半田使って表面実装やってみたいと思ってます。いいおもちゃです。
さくっと組み立て。サイドは手でネジを外し、上部の鉄板は4箇所ネジ止め。中にもネジが有るのがちょっと面倒
これ外せばかんたんにPCIeスロットにアクセスできます。SATA SSDもつけられるらしいのでゲームやるならいい感じ。
最大375Wまで対応らしいので、RTX3090とかも2スロファンで8pin x2のこういうやつなら行けるのかしら?
GeForce RTX™ 3090 TURBO 24G Key Features | Graphics Card - GIGABYTE Global
Macに接続
なんの問題もなく認識。ちゃんとRX 580として認識してました。
GeekBenchのスクショ。3つもGPUが認識されてます。
Windows10にとりあえずそのままつけると……
普通に動いているBootcamp Windows10につなぐと、デバイスマネージャからRX580が正常に見えない。標準VGA互換ドライバみたいなのがあたっていた。
しばらくするとドライバがインストールされたのか、表示が点滅して……暗転して表示されなくなった。
再起動したら直るかなと思ったらWindowsマークが出て点がくるくる回る画面までは表示されるものの、それ以降暗転。外付けGPUを抜いて起動しても同様。明らかにドライバ関連のなんかである。
セーフモードで起動
もうこうなるとどうにもならん。最初に記した参考URLによると外部ディスプレイなら映るのかもしれないが、残念ながらまだHDMIコネクタ復活させる改造をしてないのでどうにもならん。
EFI BootからWindows選択してから、Windowsロゴが出ているところで2回電源長押でぶち切りするとAuto Repairモードで起動するので,起動オプションを変更する。
下のURLの「黒い画面」の折りたたみを展開したところの手順に従いましょう。
謎のドライバをダウンロード,セーフモードのままインストール
仕方がないので有志ドライバを試してみることに。ここのページからとりあえず最新のやつをダウンロード。
BootCampDrivers.com: Turbo-charged AMD graphics drivers for Mac BootCamp users.
通常起動じゃ何も見えんのでセーフモードのままインストール。
よくわからんけど何事もなく普通にインストールされて,普通に内臓ディスプレイが映る用になりました!有志の方たちありがとう!!!
デバイス取り外しのところにeGPUが見えるようになる。
きっちりGPU-Zからも見えました。
Radeonドライバからだとこんな感じ。内臓がGPU1・プライマリに、外付け580がGPU2として認識。
ベンチマーク……の前に、外付けGPUを使ってゲームを動かす方法
Windows10だと設定→グラフィックスの設定
で、ソフトウェアごとに使うGPUを選択させる必要があるっぽい。
FF14ベンチマークの場合、ランチャーとベンチ本体をここで高パフォーマンスに設定しないと内蔵GPUが使われてしまいます。
ようやくベンチマーク!
さあようやくベンチマークです。
- | IntelHD 640 | RX 555 | RX 580(RX 470) |
---|---|---|---|
OpenCL | 4631 | 13065 | 38503 |
Metal | 4396 | 13140 | 42805 |
流石にデスクトップ用RX 580は強い。スコアにして約3倍である。
- FF14@Windows10
画質は標準品質(ノートPC)、フルHDです。
macOSでのGeekBenchよりも伸びが悪い?確かにスコアは高いのですがせいぜい1.65倍くらい。
このへんの外付けGPUへの最適化はmacOSの方が進んでいるよう。まあ怪しいドライバでなんとか動かしているような状況ですので仕方ない。
M1チップに行ってしまったMacなので、これ以上Intel MacのBootCampが改善されることはなさそうですし我慢して使うしかないのかしらねー
FF14のMac版てOpenGLのポンコツらしいから打つ手なしか……。もうM1になっちゃったから今更Intel + RadeonのMetal対応とかFF14側も絶対やらないだろうしなあ。
有志たちのさらなるドライバ改良に期待するしかないですね……。
あとがき
正直結果は微妙な感じでしたけど、まあ高い買い物じゃなかったし丁度いいおもちゃということでしばらくコイツら(Mining RX470と外付けGPU BOX)で遊んでいこうと思います!
HDMI端子復活とかも今パーツをマルツで注文中。初めてクリーム半田を使ってみようとしております。
(追記) ハンダ付けしてみた日記も書いてみたので興味のある方はどうぞ!
今更だけど例のグラボのはんだ付けにチャレンジしてみた(クリーム半田とヒートガンを使った方法) - 端の知識の備忘録
RX 5700XTのバッファローダイレクト品も注文中なのでそれの動作検証と、新しいPC買うたびにつないで見てどうなるか確かめてみたいし……。ずっと試してみたかったeGPU BOXなので色々遊んでみたいことありますね!